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みすれいぶろぐ

ながもんの日記

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M3お疲れ様でした

西暦2012年10月28日 午前8時20分
JR日暮里駅改札内公衆トイレ 和式最前個室
 
一人の男が怒り狂っていた。
 
彼を仮にメロスと呼ぼう。
 
メロスには遅刻癖があった。特に同人イベントとはめっぽう相性が悪く。
なんの自慢にもならないが、サークル参加を始めてから、大小あれど遅刻しなかったことなど無かった。
ある時は踏切が中々開かず、ある時は手焼きCDが朝まで焼き終わらず、ある時は胸毛が剃りきれず、
ことごとく集合時間に遅れてきた。
 
「次こそは遅れない」
 
それが彼の口癖だった。
 
メロスは決意した。
次こそは何も言わずに集合時間より前に、集合場所で仁王立ちを決めよう。
もちろんドヤ顔で、このレベルまで来ると遅れないこと自体が事件なのだ、おもしろいのだ。
ネタとしても人としても完璧だ。
 
冷静に考えると何も面白くないし、人として当たり前のことなのだが、それに気づけないあたり、
やはりメロスである。
 
決戦は日曜日
東京流通センター(以下、TRC)の第二展示場前に8時50分集合。
 
メロスは考えた。遅刻癖があるのは自覚をしている。少し気を張ったところで
なんやかんやで遅くなり、遅刻という愚行を繰り返してしまうのだ。
ならばどうだ、集合時間を45分前に設定しよう。8時05分に着くように考えればいいのだ。
これでちょっとやそっとのことで遅刻することは無いはずだ。
 
当日の朝、
メロスは6時に目を覚ました。
完璧だった。
今からシャワーを浴びて、どう遅く見積もっても7時前には家を出れる。
予定到着時刻は8時ちょうどだ。何があっても8時50分に遅刻することなど無い。
 
鼻歌交じりでシャワーを浴びたメロスは意気揚々と飛び出した。
カートに積んである段ボールには夢が詰まっている。
 
 
しかし人生そうはうまくいかないものである。
電車に乗り込んだ時、事件は起こった
 
 
腹が痛い。
猛烈に痛い。
間違ってもTRCまでは持たない。
 
 
だが、メロスはあわてなかった。こういうこともあろうかと
集合時間を45分前想定にしたのだ。次の駅で降りてトイレに飛び込んでからTRCに向かっても
8時50分には余裕で間に合う。
 
そう判断したメロスは日暮里駅で途中下車し
トイレに飛び込んだ。
 
紙が無い。
 
そんな古典的なオチや言い訳など使いたくはない。俺は何があっても8時50分までにTRCへ行くのだ。
今回は抜かりが無い。今まさに飛び込もうとしている個室に、短い円筒上の白色巻紙があることを確認し鍵をかけた。
 
時間的にも余裕がある。
想定の範囲内だった。
 
そう、ここまでは
 
お花を摘み終わった彼は、当たり前のように紙に手を伸ばした。
 
その紙で摘んだお花を土に還し、再び電車に乗り込めば
何も問題無く、集合時間までにTRCへ到着ことが出来る。
 
お花を摘み終わった彼は、当たり前のように紙に手を伸ばした。
 
彼のその指先が紙に触れたとき、何か違和感を感じた。
短い円筒上の巻紙の左半分が湿っている。
いや、湿っているとかそんな生優しい表現ではない。
何か得体のしれない液体に浸ってしっかりと
 
 
濡れていた。
 
 
メロスは激怒した。
なぜ紙が濡れているのか?
どうして左側だけ?
そしてこの紙巻スタンドは????
なぜ、紙を1巻使い切らないと次の紙が取り出せない構造になっているのか?
こんな構造初めて見たぞ??
どうして今日に限って?
どうして俺が???
得体のしれない液体が浸った紙で尻を拭けと???
なぜ次の紙が微かに見えているのに取り出せない???
拭かないまま穿く選択肢????
ねーよ???
 
 
友人との約束を守るか、人間としての尊厳を選ぶか
メロスは悩んだ。
 
このままでは個室から出られない
 
濡れた紙で尻を拭く?
否、俺には出来ない。
拭かないまま穿く?
いや、それでは会場が異臭騒ぎでイベントどころでは無い。
ならば拭くしかない。
どうやって?
次の紙は濡れていない。
選択肢は1つ。
次の紙を使えるようにするだけだ。
 
集合時間までには、まだ間がある。私を、待っている人があるのだ。少しも疑わず、静かに期待してくれている人があるのだ。
私は、信じられている。私の命なぞは、問題ではない。死んでお詫び、などと気のいい事は言って居られぬ。
私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。回せ! メロス。
 
メロスは回した。トイレットペーパーを回した。
濡れていない右半分を優しくつかみ
ただ、回した。
 
路行く人を押しのけ、はねとばし、メロスは黒い風のように回した。
野原で酒宴の、その宴席のまっただ中で回し、酒宴の人たちを仰天させ、犬を蹴飛ばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く回した。
一団の旅人とさっとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。
 
「いまごろは、あの男も、鶴見線に乗っているよ。」
 
ああ、その男、その男のために私は、いまこんなに回しているのだ。その男を待たせてはならない。
急げ、メロス。おくれてはならぬ。愛と誠の力を、いまこそ知らせてやるがよい。
風態なんかは、どうでもいい。メロスは、いまは、ほとんど全裸体であった。
呼吸も出来ず、二度、三度、ケツから血が噴き出た。
見える。はるか向うに小さく、白きアヴァロンの巻紙が見える。巻紙は、カートの反射光を受けてきらきら光っている。
 
「ああ、メロス様。」
 
うめくような声が、ノックと共に聞えた。
 
「誰だ。」
 
メロスは回しながら尋ねた。
 
「ミネコトラトスでございます。貴方のお友達タカヌンティウス様の弟子でございます。」
 
その若いヴォーカリストも、メロスの後について回しながら叫んだ。
 
「もう、駄目でございます。むだでございます。回すのは、やめて下さい。もう、間に合いません。」
 
「いや、まだ陽は沈まぬ。」
 
「ちょうど今、あの方が流通センターに着くところです。ああ、あなたは遅かった。おうらみ申します。ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」
 
「いや、まだ陽は沈まぬ。」
 
メロスは胸の張り裂ける思いで、目の前に溜まりゆく左半分が濡れた紙ばかりを見つめていた。回すより他は無い。
 
「やめて下さい。回すのは、やめて下さい。いまはご自分のお命が大事です。あの方は、あなたを信じて居りました。
 刑場に引き出されても、平気でいました。れー様が、さんざんあの方をからかっても、メロスは来ます、とだけ答え、
 強い信念を持ちつづけている様子でございました。」
 
「それだから、回すのだ。信じられているから回すのだ。間に合う、間に合わぬは問題でないのだ。
 人の命も問題でないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に
 トイレットペーパーを回しているのだ。ついて来い! ミネコストラトス。」
 
「ああ、あなたは気が狂ったか。それでは、うんと回すがいい。ひょっとしたら、間に合わぬものでもない。その汚いケツを出したまま回すがいい。」
 
言うにや及ぶ。まだ陽は沈まぬ。
最後の死力を尽して、メロスは回した。
メロスの頭は、からっぽだ。何一つ考えていない。
ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて回した。
紙は、ゆらゆら水たまりに没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、
メロスは疾風の如く紙を回しきった。間に合った。
 
次の瞬間、太もものiPhoneが震える、タカヌンティウスからのメールだ。
 
 
「今着いた!第二展示場前にいるで!」
 
 
「今…日暮里のトイレです…20分遅れます…」
 
 
何もない紙入れをこずくと、奥の奥から予備の紙が転がり落ちてきた。
勇者は赤面した。
 
 
_人人人人人人人人_
> 壮大な言い訳 <
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
 
 
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